エヴァンゲリオンの謎

エヴァンゲリオンの謎

マニアックな旧車、名車が 度々作中に登場する理由 ②

そんな車やバイク好きな貞本氏の影響が顕著に現れているのが第壱話の冒頭のシーンでしょう。

シンジを助手席に乗せたミサトが駆る車は、フランスのアルピーヌ社のアルピーヌ・ルノー A310に酷似しています。
ただ、本物は左ハンドルであるのに対し、ミサトが乗る車体は右ハンドルとなっています。
こちらは『N2地雷』で横転させられた後に、ミサトが車を「レストアしたばっかだったのに、早くもべっこべこ…、ローンがあと33回プラス修理費かぁ」と言っていることから、アルピーヌ・ルノー A310をかなり改造をしたものだと思われます。

おそらくは右ハンドルに改造、後部座席に大量のバッテリーを積んでいることから、電気自動車にしたのではないでしょうか?
また第四話でもアルピーヌ・ルノーA310と思われる車は登場していますが、こちらはミサトが左側から降車しているので左ハンドル仕様でしょう。

また、第七話で学校前に横付けされる赤い車はフェラーリ328のように見えます。

こちらのフェラーリ328は1985年から1989年、アルピーヌ・ルノーA310は1971年から1984年まで生産されたスポーツカーなのですが、“旧エヴァ”放送時の1995年でもすでに立派な旧車であり、車好きからすれば憧れの車でした。

おそらく、これらは車好きな貞本氏の物作りに対する“こだわり”だったのでしょう。
そうだとすれば、『エヴァ』は制作サイドの作品の細部にまで至る愛や熱意が、ますます感じられるようにも思えます。
そして、その“こだわり”を発見することも、ひとつの喜びとなるのではないでしょうか。


マニアックな旧車、名車が 度々作中に登場する理由 ①

エヴァはもちろん、『ふしぎの海のナディア』など、ガイナックス制作アニメの魅力的なキャラクターたちを生み出したのはご存じ、貞本義行氏です。

高校時代から美大を目指しており、大好きなアニメやマンガの仕事が見つけやすいからと東京の東京造形大学に進学。
ただ、当時はまだプロとして仕事をしていくというよりは、アニメに関わりたいといった感覚で、大学を卒業したら故郷の山口県で美術教師になろうと考えていたようです。

また、車やバイクも好きで、1981年にはバイクの購入資金にあてるために、『週刊少年チャンピオン』の「第16回週刊少年チャンピオン新人まんが賞」に応募して入選します。
その後、『FINAL STRETCH最後の疾走』という自動車レースをテーマにした漫画でデビューを果たすのです。

そんなアニメと乗り物を愛する貞本氏がエヴァに関わるきっかけとなったのは、当時制作中の『超時空要塞マクロス』の原画を描くアルバイトをしていた大学2年の頃に、庵野監督と出会ったことからで、4年生の頃には『DAICON FILM』に所属してアニメ制作にも参加していました。

ただ、大学卒業後は名作『ルパン三世カリオストロの城』の制作でも知られるテレコム・アニメーションフィルムに1度入社しています。
その後、ガイナックスが設立され『王立宇宙軍〜オネアミスの翼』の制作をきっかけに移籍し活躍することになったのです。


最新記事
メッセージ

名前
メール
本文