『エヴァンゲリオン』と先行作品の関連性を語る際に、外すことができないのが富野善幸(現・由悠季)監督作品の『伝説巨神イデオン』です。
通常、富野氏といえば『機動戦士ガンダム』です。
1980年代以降に制作されたSFアニメの中で、陰に陽に『ガンダム』の影響をこうむらなかった作品は皆無と言っていいでしょう。
ところが、むしろ『イデオン』を、その先駆性や禍々しさ、作品単体としてのインパクトから、富野氏の最高傑作と讃える声は、意外に少なくないのです。
まさにタイトルにふさわしい流れといえるでしょう。

『イデオン』のあらすじを簡単に説明すると、地球人が移住したソロ星にて、かつて滅亡した第6文明人の遺跡が発掘されます。
そこへ異星人が侵略してくると、遺跡が突如巨大なロボットの姿に変わり、戦い始めるのです。
このように物語は、第6文明人の意志が集合した群体である無限のパワー『イデ』に導かれ、地球人と異星人が出会い、相克し合いながら、最終的には『イデ』によって両者共に滅ぼされ、新たな生命として復活を遂げるまでが描かれます。
「エヴァ」は、大枠でこの物語の枠組みに沿っていると考えて大過ないでしょう。

では、こうした巨大ロボット物に欠かせない、操作方法はどうでしょう。
エヴァを動かすには搭乗者は選ばれた子どもであらねばならず、主に精神的なシンクロを保持することが重要視されます。
一方、『イデオン』のほうも、パワーを引き出すには技術よりも精神的なものが優先されます。
終盤では、大人よりも子どもの精神のほうが、イデの力と親和性が高いことが明らかになっていくのです。