インターネット上では作品の内容に対する批判はもちろん、総監督である庵野氏へ向けて「庵野、殺す!」などの脅迫。
さらには「スタジオに火をつけに行ってやる」などガイナックスへの脅迫なども散見されました。
また、ガイナックス本社ビルには「SEX」、「うんこ」、さらには「碇レイプマン」、「死」などを赤いスプレーで落書きされるなど、当時の制作側が非常に恐ろしい思いをしていたことがわかります。

もちろん、作品を絶賛する声も多く、インターネット上の掲示板での議論はもちろん、ガイナックスには感想のメールや、長文の手紙などが大量に届いたようです。

そんな騒動の一端が垣間見れるのが、1997年の夏に公開された完結編となる『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』の終盤に3分ほど挿入される実写映像部分。
劇場の様子や街の風景、雑踏を歩く人々などの映像が終わる寸前、ちょうど「それは夢の終わりよ」という台詞に合わせてコマ送りならばようやく内容が確認できる程度の長さで挿入されているのです。

これは、ファンの夢であった完結編、つまり“夢の終わり”に至るまでに、制作サイドが公開に間に合わせ、ファンを納得させる作品とするため、どれほどに努力し、苦しんだのかが、痛烈に感じられる演出と捉えることもできそうです。