ガイナックスが設立されて最初に制作したアニメは、バンダイ出資による『王立宇宙軍オネアミスの翼』でした。
当初はこのアニメ映画の完成と同時に解散を予定していたそうですが、ハリウッドでの上映などの宣伝費も含めた総制作費は、当初4000万円を想定したものの、最終的にはなんと8億円。
シリアスなストーリーは一部には好評でしたが、配給収入は3億4700万円と大幅な赤字となってしまい、その借金を返済するために会社を存続させなければならなくなったのです。

そうして企画されたのが、オリジナルビデオアニメの『トップをねらえ!』。
原作は岡田斗司夫氏で庵野秀明監督が初めて監督を務めた作品であり、『超時空要塞マクロス』などで当時から非常に人気が高く、美少女キャラクターが得意な美樹本晴彦氏がキャラクター原案。
ヒロインはパイロット養成学校である沖縄女子宇宙高校に通う少女で、非常に明るいイメージです。

いわゆる学園もの的な展開もありますが、“ウラシマ効果”などシリアスな設定もあり、最終回は一部に着色はあるものの、ほとんどが白黒と『まごころを、君に』のラストを思わせる実験的な部分もあります。
ちなみに売り上げはビデオ1巻あたり、3万本の大ヒットで、“OVAの金字塔”とも言われましたが、こちらもやはり制作費をかけすぎてガイナックスとしての借金は膨らみ、経営を続けるしかない状況となり、アニメ制作の下請け、孫請けなども行なうようになっていったのです。