そして1990年には NHK総合で放送されたテレビアニメ『ふしぎの海のナディア』を制作し、アニメ専門誌の表紙を総ナメするほどの大ヒットとなります。
同作はジュール・ヴェルヌのSF小説『海底二万里』と『神秘の島』を原案とした海洋冒険ロマンで総監督は庵野秀明氏、キャラクターデザインは貞本義行氏のエヴァと同じ豪華コンビでした。

そんな『ふしぎの海のナディア』の次にガイナックスが制作したテレビアニメが『新世紀エヴァンゲリオン』だったわけですが、当初の構想は学園ロボットものであると今でもまことしやかに語られる都市伝説があります。
おそらくはシリアスな『王立宇宙軍オネアミスの翼』で借金を抱えたガイナックスの新作ですから、学園ものイメージで大きな売り上げをあげた『トップをねらえ!』に準じた明るい作品になるのでは?
と誰かが言い出したのだと思われますが、実際のところはどうなのでしょう。

実は『ふしぎの海のナディア』の時点で庵野監督は続編的物語としてエヴァの構想があったといいます。
確かに『ふしぎの海のナディア』クライマックスに登場するレッドノアという宇宙船には、アダムという巨人が保存されており、エヴァンゲリオンの根幹設定を思わせる部分があります。
また、エヴァンゲリオンでは全18体いる使徒のなかで地中のリリスと人間であるリリンを除けば16体となりますが、『ふしぎの海のナディア』最終回では、まさに16の白い光の玉がアダムを保存していたレッドノアから飛び散って、衛星軌道上から地球へと降り注いでいく場面があるのです。

これらの符合こそがナディア時代から初期エヴァ構想があった根拠に思えますが、果たして…。