実はボーカルの有無や、アレンジ、担当する歌手の違いだけでなく、曲のキー、つまり音程が違っていたのです。

第壱話〜第七話まではB♭のキーでした。
第八話〜第九話はCのキーと1音上がり、その後B♭とCのキーがランダムになっていますが、唯一例外として第拾七話だけはGのキー。

ちなみにジャズのスタンダードとして『Fly Me To The Moon』は、フランク・シナトラのバージョンのキーであるCで演奏される場合がほとんどです。
もちろん、ボーカルに合わせてキーを上下することもありますが、1音程度の違いに収まる場合が大半です。

それがGのキーとなると、ほとんどの女性では低すぎて歌いにくくなるはずですが、なぜなのでしょうか。
ちなみにエヴァで使用されているなかで低いほうのB♭のキーと比較すると、カラオケでいえば4つ下げたのと同じことになります。

その例外的なキーが使用された第拾七話『四人目の適格者』は、基本的には大きなドラマはなく、日常が淡々と描かれるという内容でした。
しかし、マルドゥック機関が存在しないことや、2年A組の生徒全員がエヴァのパイロット候補であることが判明した回でもあります。
そう考えると、それまでの展開予想を覆した回ともいえますので、想定していたキーではないエンディングを使用したことは、淡々と描かれた日常において、何かしらの違和感を音楽で演出しているとも捉えられそうです。