様々な社会現象を巻き起こしたエヴァですが、同じアニメ業界には“ポストエヴァンゲリオン症候群”とまでいわれるほどに強い影響をもたらしました。

それは“サスペンス”や“純愛もの”などと同様に、“セカイ系”という言葉で分類される物語の形式です。
“セカイ系”は近年の造語であるため、厳密な定義はありませんが、おおまかにはエヴァがシンジ、レイ、アスカなど、人類全体からすれば非常に小さな“個”を中心にして描かれているのに、彼らが世界の危機など人類に関わる大き過ぎる問題に直面しているパターンを意味しています。

物語で描かれる世界もシンジの日常が大半で、ネルフやゼーレに関することは必要最低限と非常に限定的なのも特徴のひとつです。

そうして小さな“個”であるはずのシンジはネルフの全貌すらも把握できていないにもかかわらず、「逃げちゃダメだ」の台詞からもわかるように、自分が世界の命運を背負っている存在と思い込むなど誇大妄想ともいえる部分が多いのです。
同時にシンジのように独白が多い主人公の作品も“エヴァっぽい”と言われたり、“セカイ系”に分類されているようです。

“セカイ系”にはエヴァ同様、巨大ロボットが絡む作品も多く、ごく普通の少年少女が、ただのコンピュータゲームだと思って巨大ロボットを操作し地球を襲う巨大な敵と戦う『ぼくらの』もそのひとつでしょう。