また、シンジとレイのように主人公とヒロインの関係性が世界の危機に直結する設定の作品も、この“セカイ系”に入るとされていますが、確かに最近のアニメには非常に多く見られるのです。

例えば『涼宮ハルヒの憂鬱』シリーズなどはその代表でしょう。

素直になれないツンデレのヒロイン・涼宮ハルヒは、本人が知らないうちに世界を滅亡させかねない超常現象を巻き起こす存在です。
その超常現象は主人公であるキョンとの関係性に対するハルヒの不満から生まれるのです。

そして物語はキョンの独白によって進むのですから、先の定義でいえばまさに“セカイ系”です。

また、レイが初登場時に包帯でぐるぐる巻きにされ傷ついた姿で、無理してエヴァンゲリオンに乗ろうとしたように、何かの目標に向かって傷つきながらも努力しているヒロインと、シンジのように気弱で無力な主人公という図式も“セカイ系”に分類されています。

こちらはライトノベル系の作品によく見られるパターンで、異世界で何者かと戦うヒロインが、現実世界の無力な主人公の前に突如現れるといった構成も、もはや定番となっています。

“ポストエヴァンゲリオン症候群”と病名のように言ってしまってはネガティブなイメージになってしまいますが、エヴァを彷彿させる“セカイ系”作品が多いことは、現在、第一線で活躍するクリエーターの多くがエヴァの影響を強く受けたことの証拠といえるでしょう。