本書第壱章でも考察した通り、“新ヱヴァ”と“旧エヴァ”は単純にパラレルワールドではなく、ループしているのではないかとする仮説があります。

ループしている世界とパラレルワールドは、同じ時間軸の中でそれぞれの世界に差異があるという点では似ているように思えますが、これらは似て異なるものです。

例えばループしている世界の中でAという人物が1度目の朝、トーストに塗ったバターが10グラムだった世界と、2度目の朝に9グラム塗った世界は、あくまで繰り返しの中での差異です。

それに対してパラレルワールドはあくまで別の世界であり、Aという人物が 10グラムのバターを塗った朝も、9グラム塗った朝も同時に存在していることになるのです。
また、パラレルワールドにおいて隣り合った世界の差異はわずかですが、それが遠くに行くほどに差異も大きくなる…、例えば人間ではなく恐竜が支配する世界になるなどといった設定もよく使われます。

いずれもSFでは古くからある手法です。アニメでも1984年の『ドラえもん のび太の魔界大冒険』が、「もしもボックス」によって作られたパラレルワールドが舞台になっていたり、同じ1984年の劇場アニメ『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』がループを扱っています。