これらのエヴァ関連作品に様々な差異があることは、別の作品であるからと言ってしまえば簡単に説明がつきますが、本書の考察どおり、“旧エヴァ”“新ヱヴァ”がループしている時間軸の中での“違い”だとする説を強める根拠とも考えられます。

貞本義行氏による『新世紀エヴァンゲリオン』においては、アニメでのループの際には接点のなかったアスカとゲンドウが、漫画のループでは接触しています。
また、『ぷちえゔぁ』では、ミサトがネルフに入ろうとしなかったことなどが、ループ世界の設定のひとつともいえるでしょう。

赤い海や巨人の白線などをはじめ、“旧エヴァ”と“新ヱヴァ”にも様々な差異が見受けられます。
これらは他の派生作品同様、ループだからこその差異とも考えられるのではないでしょうか。

先に紹介したアニメにおけるループ設定の原点ともいえる『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』では、世界をループさせている“傍観者”ともいえる“夢邪鬼(むじゃき)”という妖怪がいました。
つまりこれは、『エヴァ』における「傍観者=カヲル」という説とも繋がってくるように感じられます。
“新ヱヴァ”でカヲルがシンジに向けて放った言葉「また3番目とはね、変わらないな、君は」が、それを物語っています。
そして彼は、“ループした世界”からシンジを“脱出”させることが最終目的であるかのような台詞も残しているのです。

「今度こそ、君だけは幸せにしてみせるよ」と……。