エヴァンゲリオンの謎

エヴァンゲリオンの謎

第八章

“ループ系”の名作が後の アニメに与えた多大な影響 ②

『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』はヒロインのラムが望んだ文化祭前日の楽しい1日が繰り返されるという設定でした。

繰り返されるうちにラムたちが生活する小さな世界である友引町は半球状の宇宙に浮く孤島のようになって世界から孤立し、ラムの友達以外は姿を消すのです。
そんな孤立した世界ながらもコンビニエンスストアには商品が補充され、ガスや水道といったライフラインも供給され続けながらも、翌日の文化祭は開催されないのです。

そして『エヴァ』以降にはループをテーマとしたアニメが非常に増えてきました。

『涼宮ハルヒの憂鬱』シリーズにおいても、ヒロインのハルヒが望む夏休みの終わりが来ないため、夏休みが繰り返される『エンドレスエイト』というエピソードがあります。

また、2011年に大ヒットしたアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』の核心部分もループがテーマとなっていました。
こちらは主人公である鹿目まどかを救い自分が望んだ未来へ進むため、時間を遡る能力を持った暁美ほむらが何度も同じ時間軸をやり直していました。

この『涼宮ハルヒの憂鬱』も『魔法少女まどか☆マギカ』もエヴァ以降の作品で、ごく普通の中高生が主人公であり、前頁の“セカイ系”に分類できる作品です。
少なからずエヴァの影響はあることでしょう。
それに対して『ドラえもん』や『うる星やつら』は1984年とエヴァ以前です。
庵野監督はもちろん、エヴァ制作陣がこれらからヒントを得ていたと考えるならば、先の仮説通り、エヴァはループしている物語だという仮説を強めることにもなるのではないでしょうか。


“ループ系”の名作が後の アニメに与えた多大な影響 ①

本書第壱章でも考察した通り、“新ヱヴァ”と“旧エヴァ”は単純にパラレルワールドではなく、ループしているのではないかとする仮説があります。

ループしている世界とパラレルワールドは、同じ時間軸の中でそれぞれの世界に差異があるという点では似ているように思えますが、これらは似て異なるものです。

例えばループしている世界の中でAという人物が1度目の朝、トーストに塗ったバターが10グラムだった世界と、2度目の朝に9グラム塗った世界は、あくまで繰り返しの中での差異です。

それに対してパラレルワールドはあくまで別の世界であり、Aという人物が 10グラムのバターを塗った朝も、9グラム塗った朝も同時に存在していることになるのです。
また、パラレルワールドにおいて隣り合った世界の差異はわずかですが、それが遠くに行くほどに差異も大きくなる…、例えば人間ではなく恐竜が支配する世界になるなどといった設定もよく使われます。

いずれもSFでは古くからある手法です。アニメでも1984年の『ドラえもん のび太の魔界大冒険』が、「もしもボックス」によって作られたパラレルワールドが舞台になっていたり、同じ1984年の劇場アニメ『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』がループを扱っています。


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